グループCは、バルセロナが勝ち点10。その他3チームが勝ち点4で並ぶという中、迎えた第5節。バルセロナは、残り2試合で勝ち点1を取ればグループ1位が決まります。対するブレーメンは、ここで勝たないと2位以内に入るのは難しくなります。
バルセロナのホーム、カンプ・ノウには98,600人の観客が入り、まさに超満員。一次リーグはこれでホーム最終戦となるので、是非この試合で1位通過を決めて欲しいというサポーターの熱意の表れでしょうか。
バルセロナは陣形こそいつも通りの4-3-3ですが、メンバーがかなり変わっています。エトーはベンチで、メッシはベンチからも外れて完全にお休み。代わってラーションとジュリがスタメンに入ります。中盤も、シャビが外れてモッタ、怪我のファン・ボメルに代えてガブリが入りました。
ブレーメンもいつも通り、中盤がダイヤモンドの4-4-2。トップ下にミクーを置いて、2トップの一角にはクローゼが陣取ります。
ブレーメンは何が何でも勝たないといけないこの試合。しかし、主導権を握ったのはホーム・バルセロナでした。
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試合開始直後から両チームとも高いDFラインを敷いて、非常にコンパクトなスペースでボールを奪い合います。ですが、30秒ほどしてロナウジーニョにボールが入ると一転、ブレーメンの選手達は魅入られたようにボールを見てしまい、DFラインの裏へ走り出すラーションを捉えられません。ロナウジーニョからの浮き球のスルーパスが、ぴたりとラーションに合います。この場面はGKが飛び出したおかげでラーションのシュートは左に外れました。しかし、今日のロナウジーニョはこれが前フリと言っていいくらい。
このあと試合は完全にロナウジーニョが支配します。
ロナウジーニョに対し、他のチームであれば密着マークを仕掛けて完全に試合の流れから消しにかかるのが定石です。ところが、ブレーメンは男らしいというか蛮勇というか、ロナウジーニョ対策をまったくしてきません。そのお陰でロナウジーニョは前線を左から右、右から左と自由自在に動き回り、パスを受けては絶妙なタメを作り、決定的なスルーパスを繰り出します。
14分までに、パスが出た瞬間歓声が上がるくらいのスルーパスを3本も出したロナウジーニョ。4本目が先制点につながりました。
試合開始直後と同じような位置、ハーフウェイライン付近の左サイドでボールを受けたロナウジーニョが細かくボールを触ってタメを作ります。この時、ゴール前中央に走り込んだのは中盤のガブリ。ロナウジーニョの浮き球のパス、そしてガブリの走り込みのタイミングがピタリと合い、オフサイドぎりぎりでガブリが抜け出します。この時点でブレーメンDFラインとガブリの距離は5m以上開きました。ガブリは落ち着いて胸トラップ、左足で飛び出してくるGKの横を抜きました。
鮮やかすぎる先制点。
22分には、この試合唯一といっていいバルセロナの守備のミスがでます。プジョルがボールを持ちすぎてしまい、PAのすぐ外でボールを奪われてしまいました。マルケス(だったかな?)がカバーに入りタックルを仕掛けますが、これで相手を引っかけてしまいPK。位置的にはPAの中か外か非常に微妙でしたが、もちろん判定は覆りません。
このPKをボロウスキーが決めて1−1の同点。
しかしながら、スタジアムを包む楽観的な雰囲気はまったく変わりません。むしろ、「もっと攻めろもっと攻めろ」と楽しく煽り立てるような空気が充満していきます。
それもこれも、ロナウジーニョの出来が素晴らしいため。ボールが渡るたびに予想外の何かをして、そのほとんどがチャンスの可能性を感じさせ、そして実際ビッグチャンスを生み出しているのを見ていると、この先何点でも取れるじゃないかと思わせるのです。
そして27分、PA左角のちょっと外でFKを得たバルセロナ。もちろん蹴るのはロナウジーニョ。今日の空気はロナウジーニョ以外のキッカーを許容しません。
ロナウジーニョの立ち位置は、どう見てもゴール前へのクロスを上げるための位置。そこからゆっくりと助走を始め、右足を振り抜く瞬間にキュッと腰を鋭く回転させました。ボールは味方が待つゴール前ではなく、二アポストに向けて一直線。GKはあまりの意外さに右手を動かすことが精一杯で、ボールはワンバウンドしてその手の先をすり抜け、ゴールネットを揺らしました。
ブレーメンの選手どころか、観客、解説者、そしてテレビの前の視聴者さえ予想だにしなかったFKでバルセロナが2−1と再びリードします。このゴールが反撃ムードが漂い始めたブレーメンを、精神的に打ちのめした1点となります。
ここから前半終了まで完全にバルセロナペース。ブレーメンはボールを持っても、ハーフウェイラインまで持っていくのが精一杯です。何しろバルセロナの守備意識がまったく落ちないのです。ブレーメンとしてはDFとGKも含めて、速く精確なパス回しをやらないとバルセロナ陣にボールを運ぶことすらままなりません。
4-3-3では中盤の人数の少なさから、FWも守備に参加しなければ一気に守備が崩壊する危険性を孕んでいます。実際、昨期の決勝トーナメント、アウェイのチェルシー戦でその欠点が露呈しましたが、今期はその欠点を前線からの絶え間ないプレスで補うことができているようです。
なにせ、ブレーメンのボランチにボールが入った瞬間に、なんと4人で囲んでボールを奪ってしまうシーンもあったくらい。これほどの技術と攻撃センスを持った選手達に、これほどの守備意識を植え付けるためにはどれほどの苦労があったことか。ライカールト監督の手腕には、ただただ脱帽するばかりです。
前半はバルセロナがチャンスを作り続けて終了。スタジアムには「負ける気しないね」という、妙な確信に満ちた雰囲気が漂っているように思えます。
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後半開始からもブレーメンはあまり元気がありません。確かに高いDFラインを保って、中盤でプレスをかけようと努力してはいますが、バルセロナの選手達の技術の高さとパスワーク、そしてロナウジーニョの意外性に翻弄されて、もうどうしていいのやらといった感じです。
ラインはじわじわと押し下げられ、最後はDFの集中力でなんとかラストパスを防ぐという戦いを強いられるブレーメン。攻撃に転じても、クローゼが試合から消えてしまっていて、なかなか効果的な攻めにつながりません。
しかも59分にクローゼが負傷で交代してしまってからは、代わって入ったフントがバルセロナのオフサイドトラップに面白いようにかかってしまい、カウンターのチャンスを得ても笛が鳴ってしまいます。
後半に入ってからも再三スルーパスを供給し、中央をワンツーパスの繰り返しで突破しかけたりと、絶好調のロナウジーニョ。そして、前線で動きが停滞したり、ボールの出し所が見つからない時は、中盤の底に陣取るデコへボールが集まり、デコから自由自在のミドル&ロングパスを供給。
緩急自在、それでいて選手の意思統一は完璧なバルセロナの攻撃。
点差はわずかに1点ながら、点差以上の差がありました。
そして追加点は71分。またもやロナウジーニョが、今度は中盤右サイドでボールを受けると、ブレーメンのボランチが戻りきれずフリーでじっくりとタメを作ります。
ラーションが中央に走り込むのに合わせて、完璧なタイミングでのスルーパス。DFの足先を抜けたボールはラーションの足下にスパッと入り、ラーションが飛び出してくるGKの横を抜くシュートを打つだけでした。
この場面もまたラーションが完璧にフリーになるタイミングでのスルーパス。しかもロナウジーニョの見せ場はこれだけでは終わりませんでした。
3−1となってやや守備がルーズになり始めたバルセロナ。そこを突いてカウンターを出せるようになったブレーメンですが、しかし切れてしまった集中力はついに戻ることはなく、決定的なチャンスを作り出すことができません。
そして試合はロナウジーニョの独壇場となります。
ロナウジーニョにボールが渡れば歓声が沸き、パスを出せば歓声が沸き、絶妙のスルーパスをオフサイドにしてしまった選手には容赦ないブーイング。そして、ボールに触らず身体の動きだけで相手を釘付けにして、ドリブルで一気に2人、3人と抜き去っていく。
「ロナウジーニョなら何か楽しいことをやってくれる。はやくロナウジーニョへパスを」
残りの20分、スタジアムはロナウジーニョを中心に回っていました。
試合は、ブレーメンの抵抗らしい抵抗がないままタイムアップ。
スタジアムからは一次リーグを1位通過したことと、何よりロナウジーニョの素晴らしいプレイを見ることができた満足感からの暖かい拍手が贈られました。
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この試合、やはりロナウジーニョにつきます。これほどのプレーを見ることができて幸せだと、そう思わずにはいられませんでした。
それから、あまり目立たなかったもののデコのパスにはため息が出ました。あれだけ視野が広くて精確なパスを送れる選手がいるというのは、チームにとって非常に大きいと思います。
そして特筆すべきは、やはりバルセロナ選手全員に行き渡った守備意識と守備戦術、そして規律。これだけ控えの選手が出てきても、チーム全体のパフォーマンスを落とすことなく守備も攻撃もこなせるというのは、本当に凄いことだと改めて思います(特に最近の鹿島を見ると…(泣))。
一方のブレーメンですが、勝たなければいけない試合で果敢に挑みました。それは認めますが、やはり実力差は大きかったと言わざるを得ません。クローゼが交代してからは完全に手詰まりで、シャーフ監督もベンチで為す術なく頭をかかえるだけでしたから…
グループCのもう1試合でウディネーゼが勝ったため、これでブレーメンの決勝トーナメント進出はほぼなくなりました。
残るはブンデスリーガですが、こちらも1位バイエルンに勝ち点差5をつけられての2位。なかなか厳しい状況にあるようです。
さて、次はJ1ですね。柏の玉田が疲労骨折で全治2ヶ月ということもあり、俄然、柏と東京Vの降格争いが面白くなってまいりました(笑)<悪趣味ですねぇ
放送予定では、東京Vvs名古屋の試合をスカパー!でやるようなのでこれを見て、あとはJリーグダイジェストで楽しもうかと思っています。
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