2007年08月29日

久しぶりにカチンと来た件

21時のBSニュースを見て、さすがに頭に血が上りました。奈良県で、妊婦の搬送先が決まらずに結局流産したという記事。この事件だけを見れば、医療体制の不備が招いた悲劇、で片づけられてしまうものです。

ただ、今回の事件のもともとのきっかけは昨年10月に起こった大淀病院事件。妊婦が分娩中に脳内出血を起こし、設備のない大淀病院から設備のある病院(NICU=新生児集中治療室)へ転送しようとしたがどこにも受け入れてもらえず、数時間後ようやく大阪に転送先が見つかって搬送したものの妊婦死亡(乳児は無事)となってしまいました。
詳しくは当時のブログをどうぞ。
ある産婦人科医のひとりごと
新小児科医のつぶやき
元検弁護士のつぶやき

自分としては、脳内出血が脳深部で起こったという情報を知っていったので「運が悪かったとしか言いようがない(普通の人でもまず助からない、ましてや妊婦では…)」という感想を持ったのですが、そうではない人が世の中にはいました。それは毎日新聞。担当医師の診断ミスと対処ミスが引き起こした事件だったと取り上げ、医療過誤事件として警察が捜査、起訴まで至る事件となりました。
その結果、訴訟リスクを恐れ、奈良県というか紀伊半島の過疎地ですでに遅れていた産婦人科医療が完全に壊滅。紀伊半島で妊娠および分娩時に重篤な事態に陥った場合、大阪まで搬送する以外の手段がなくなりました。つまり、今回の事件は起こるべくして起こった事件です。
そのあたりの経緯は、ずっと事件を追いかけている天漢日乗さんでどうぞ。時間があればその1から20くらいまで読むことをお薦めします。
天漢日乗「マスコミたらいまわし」とは?(その87)

で、なにが頭に来ているのかというと、少子化少子化と叫びつつ一方では地方の産婦人科医療を壊滅させておきながら、格差格差とまた叫び、いざ何か起これば「たらい回し」の一言をもって自ら壊滅させた体制を批判するマスコミの姿勢にです。しかも、BSニュースですら「たらい回し」と言っていたのを聞いて、久しぶりに頭に血が上る瞬間を体験しました。元はてめえらのせいだろう、と。
他の民放や新聞ではどんな扱いをされているやら。確認したくもありませんが。

ちなみに今回の事件に関して、現場の声はこちらから。
ポンコツ研究日記〜悩める産婦人科医のブログ〜

マスコミに、しかも素人である記者の記事に、警察も司法も一般市民も振り回される現状自体がおかしいんです。
けれども、現状を何とかしようと思ったらあまり手はありません。医療関係者以外が医療に関する専門知識を身に付けてマスコミの報道に惑わされないようにするか、医療過誤に関しては医師を免責して原因を徹底的に調査、過誤事例を共有して同じ過ちを繰り返さないようにするか。自分には他の案が思い浮かびません。あ、あとはマスコミに一切報道させないよう法改正するって手もありますけど。

このままだと、リスクの高い産婦人科や小児科からは医師がどんどんいなくなり、少子化対策の根元が瓦解すると思うのですが、政府はどんな対策をするつもりなんでしょうか。
そして、記者の功名心、自社の利益のために社会体制をぶち壊し、結果的に人命を喪失させているマスコミはどんな責任を取るんでしょうかね。まあ、やつらは絶対に自省も反省もしない人種ですけど。
posted by plop at 23:40| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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どうした、日本2
Excerpt: 今日一番腹が立ったニュースは、赤ちゃんが流産した事件です。 前も、奈良県で救急車で運ばれ病院が見つからないまま奥さんをなくしてしまった事件がありました。 「もう二度とないようにします。」そう言って..
Weblog: ブログというブログ!
Tracked: 2007-08-29 23:59
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