2007年07月05日

「宇宙へのパスポート3」

嗚呼、またサボってしまった……ネタはあるのに時間がかかるものばかり。読書、政治、経済はどうしても読み直したりソース調べたりの時間がかかってしまってねぇ。
といいつつ、積んである読了本の感想を少しでも進めるために、今日は敢えて読書感想文です。なるべく簡単に。

で、昨年の今頃(ん?8月だったか?)に読み終えた「宇宙へのパスポート3」を今日はご紹介。著者はSF作家笹本祐一氏(Wikipedia)、ARIELシリーズ(Wikipedia)でお馴染みの方もいるかもしれません。実は自分、読んだことありませんがw 解説は松浦晋也氏。

内容は、笹本氏の世界各地ロケット打ち上げ実況行脚と、松浦氏の各国宇宙開発状況解説が交互に書かれています。これは前著にあたる「宇宙へのパスポート」と「宇宙へのパスポート2」とほぼ同じ構成です。

今回の3では、ヨーロッパの商業ロケット アリアンIV(Wikipedia)、旧ソ連の大陸間弾道弾のロケット部分を使った ユーロコット(Wikipedia)、日本のH-IIA5〜7号機(Wikipedia)、JAXAへの統合によって開発が中止された固体燃料ロケット M-V(ミューファイブ)6号機(Wikipedia)、そして最後に、日本の小惑星探査機はやぶさのミッション。これらの現場取材日記がメインになっています。

で、これが読んでいて、移動が大変だったとかロケット打ち上げ予定に振り回されたりとか、ロケットに興味がなければ、いやあったとしてもだらだらとした部分が多いのですよ!良く言えば旅の詳細、悪く言えば冗長。でも、実際に自分の目でロケット打ち上げを見に行こう、という場合には非常に有用なのが更に困りものでしてw
如何にロケット打ち上げが外的要因、主に投入予定の軌道と打ち上げ時間、そしてその時の天候に左右されるものかというのがイヤと言うほどわかります。現場の雰囲気が文章からもビンビン伝わってきますし。
その上、笹本氏(松浦氏が同行する場合もあり)がロケット打ち上げ以外にスケジューリングする先が、スミソニアン博物館だったりロシアのロケットの父と呼ばれる人の実家だったりドイツの遊覧飛行船ツェッペリンNTだったりと、マニアックすぎてどうにもなりませんw
個人的には興味深くというより、スミソニアンには生きてるうちに一度は行ってみたいと思ったし、遊覧飛行船も乗ってみたいな〜と思いました(日本でも始まるのかな?)。でも、さすがにロシアまではねぇw

そして、打ち上げ現場取材日記の合間に、松浦氏の各国宇宙開発状況解説が入るわけです。欧州、ロシア、中国、アメリカ、カナダ、インドの6ヵ国(地域)。
欧州は既にビジネスとしてのロケット打ち上げを確立しているし、ロシアは過去の遺産を切り売りしてはいますが生計を立てることはできています。アメリカは宇宙開発より市民に予算を!ということで縮小気味。日本よりは随分マシですが。
驚くことに、これまで大して実績のなかった中国、カナダ、インドが進境著しく、そしてその理由がそれぞれ述べられています。特に目を引いたのが中国。NASA帰りの「ロケット野郎」がいて、そいつが首脳陣に入ってから成功続きらしいとのこと。
中国のロケットと言えば、一般人500人以上が死亡した長征の事故

が有名ですが、この事故の後に人事刷新が行われたようです。4年前に有人飛行を成功させて、個人的には次は失敗すると思っていた中国ですが、状況はそう甘くないようです。

最後に、はやぶさの小惑星イトカワへの着陸ミッションレポート。
2005年の秋に、時々新聞等に出てくるニュースを見かけるだけな自分でしたが、その影にあったとんでもない苦難・試練の連続に、読んでるだけで年甲斐もなく胸が高鳴ってしまいました。
地球の自転のため日本から、はやぶさと通信できる時間は約8時間と短く、それを補うための各国への協力を依頼。2億9000万kmという、光の速さでも片道16分かかる距離にいるはやぶさから16分かけて送られてきた画像を確認して指令コマンドを作成し送信、また32分後にその結果を確認して指令コマンド作成…という途方もない作業はまさに職人芸。世界で初めて超近距離で小惑星を撮影し、数回の着陸を試みて小惑星のサンプルを(おそらく)採取し、いざ帰還…という段階になって姿勢制御用スラスターとリアクションホイールが故障、燃料ガス漏れも発生してもうだめか…と思ったら「こんなこともあろうかと」予めZ軸方向に揺れが収束する設計にしてあったとか、メインエンジンであるイオンエンジンのノズルを重心からずらして噴射できるようにしてあるとか(これでちょっとだけ姿勢制御が可能)……
なんというか、宇宙に賭ける男達の生き様と執念を見た思いです。熱くなりました。

ちなみに今現在のはやぶさの状態はこちら
姿勢制御系と電気系(バッテリ)をほとんど失いながら、メインエンジンによる姿勢制御によって3年後の6月に帰還予定となっています。この間に、エンジンが壊れても燃料が漏れても姿勢が崩れて地球からのコマンドを受け取れなくなっても、アウト。ここまで運用できているのが奇跡と言えるくらいの満身創痍です。
以前の計画では、小惑星のサンプルを大気圏突入カプセルに入れて地球に落下させ、はやぶさ自身は他の小惑星へ再び赴くか長周期人工衛星になる予定でした。が、その予定はすべて狂い、現在は大気圏突入カプセルと一緒に大気圏に突入することがサンプルを地球上に持ち帰るために一番可能性の高いプランとなっています。
つまり、はやぶさは地球に帰ってきても燃え尽きる運命にあるのです。


あれー? 最後の最後でまた長くなってしまった。
個人的にこの本の価値は、各国の宇宙開発の現状とはやぶさの詳細がわかったってことになります。
特にはやぶさは、ホントにドラマなんじゃね?と思うほどピンチの連続。でも、そのピンチをドラマのように次々乗り越えてここまで来てるんですから、熱くならずにはいられません。なんとか地球まで戻ってきて欲しいです。
小惑星探査やはやぶさって聞いたことあるけど、よく知らないという方に是非お薦めします。って、かなりニッチですな、我ながらw

実際に日本のロケット打ち上げを見たい、参考にしたい、という方にはまず「宇宙へのパスポート」をお薦めしちゃいますw 3だと、笹本氏も「種子島旅行」にすっかり慣れてきて、1にあったようなおっかなびっくり感がなくなってますから。是非1から3まで通して読んでみて下さい。打ち上げが見たくなるかも。
posted by plop at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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