2006年11月28日

「構造改革の先を読む」

構造改革の先を読む」は、WBSで時々ゲストとして出席しているモルガン・スタンレー証券の日本主席エコノミスト、フェルドマンさんの著作です。
発行は1年前。ちょうど郵政選挙で小泉総理大臣率いる自民党が圧勝したのを受けて著されました。

小泉総理大臣が進めてきた構造改革によって日本経済と株式相場の仕組みがゆっくりと変わりつつあり、それによって経済はまだまだ伸びるし、株式相場も徐々に上がっていくだろうというのが主題です。過去の経済指標やデータを元に現状を分析、加えてリスク要因として原油高の影響なども考慮に入れて、短期的な予測と中長期的な予測を出しているので、この先の経済がどう流れていくのか非常に分かりやすくなっています。
しかも構造改革によって政策・法律が変わり、企業がどうそれに対応していけばよいのかもほどよく具体的に書いてあります。
とはいえ、先月の北朝鮮の核実験で東アジアの地政学的なバランスが変わってしまって、今となっては内容をそのまま未来の日本経済に当てはめることはできなくなってますが(苦笑)。

フェルドマンさんが他の経済評論家と一味違うのは、日本の外から観察をしているという点とそれを自ら日本語で表現できることです。

第1章で日本の生産性を上げるためには、
・女性の更なる社会進出
・定年後の人材の再活用
・IT活用の効率アップ
・上記のための設備投資
などを上げています。それぞれ一つずつ上げる評論家はいましたが、これらを上げて、もしこれらが出来ない場合は移民を受け入れるしかないと(家族も含めて740万人!)結論していたのはフェルドマンさんくらいだったと思います。(1年経った今ではそうでもないですが)
冷静にこういった結論を導き出せるのは、日本の中からの視点ではなく外の視点を持っているからそこでしょう。

そして意外と読みやすい日本語(笑)。ときどき直訳っぽい文章があったりしますが、平素で簡易な表現を心がけているのでとてもわかりやすいです。訳の分からない修辞をちりばめている日本人著者の本なんぞとは比べものになりません。

1年経って改めてザーッと読み直してみると、事実予測通りに進んでいるところが多いのに驚きますね。これに地政学リスクが含まれていれば、完璧でした(まあ、北朝鮮の核実験を予測できる経済評論家なんていないでしょうが(笑))。
今現在、外国人の対日投資が渋り気味になっていて株価が低迷しています。こういった対日投資資金が一時的に逃げる条件として企業のリストラ疲れ(人件費抑制が限界点に)と、構造改革の先行き不安を上げています。これなんてまさにそのものズバリ。この中間決算ではあまりいい数字が出てこなかったし、安倍政権に変わって構造改革がどうなるやらという不安がダブルパンチになった格好です。

うーん、フェルドマンさんの的確な分析と予測に脱帽です。
もう一度ちゃんと読み直しておかないといけません。
posted by plop at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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