2008年12月12日

2008 J1各チーム短評(4)

ようやっと残り4チーム。いくぜ!

15位 千葉
 今オフは、一昨年にイビチャ・オシム監督を日本代表に奪われ、GMの祖母井氏もグルノーブルに引き抜かれ、それ以来フロントに対する不信感が募っていた指導陣・選手達の不満が一気に吹き出た形になりました。
 アマル・オシム監督が解任され、イビチャ・オシム監督に育てられた主力メンバーのほとんど(水野、水本、羽生、山岸、佐藤勇人)を流出させてしまったシーズンオフの千葉(残ったのは巻くらい)。以前、G大阪で指揮を執ったクゼ監督を招聘したものの、大幅な戦力低下を覚悟の上でシーズンに臨むことになりました。

 そして、当然のように序盤から低迷。11節の浦和戦まで勝利無し、7連敗を喫するなど、2分9敗で最下位という最悪の立ち上がりになりました。
 フロントはクゼ監督を解任して、イングランドのリバプールでコーチとしてベニテス監督を補佐していたアレックス・ミラー氏を監督として招聘。直後の12節京都戦で今期初勝利を上げ、底入れに成功。さらにシーズン中に深井、戸田といった補強を行うとチームは一気に波に乗り、後半戦は鹿島、名古屋など優勝争いのチームを撃破して勝ち点を重ね、残り6節の時点で降格圏から抜け出して14位と残留圏内まで順位を上げることに成功します。
 しかし、そこから安心感が広がったためか試合中に守備崩壊が起こるようになってしまい勝ち星を上げることができず、最終戦前の時点で17位と順位を落としてしまいます。残留するには最終戦に勝利した上で、勝ち点差2の磐田と東京Vが共に負けないといけない状況になりました。

 そして最終戦。FC東京相手に0-2とリードを広げられた時点で、残り時間は37分。磐田は0-0、東京Vも0-0と、土俵際まで追い込まれましたが、残り16分から大逆転が始まり11分間に4得点を奪って大逆転。磐田は75分に失点して0-1、東京Vも64分とロスタイムに失点して0-2で敗戦。この瞬間、千葉が史上稀に見る大逆転でJ1残留を決定しました。

 来期に向けては、既にミラー監督に続投を要請済みで指導陣は取り敢えず安泰。これだけの苦しいシーズンで残留を経験できた選手であれば、自分から出て行くことはないでしょうから、あとはミラー監督の構想次第で放出・獲得選手が決まってくるでしょう。あ、それと予算。
 あれだけボロボロだった千葉を短期間で立て直したミラー監督の手腕には脱帽するしかありません。問題は現在の千葉のフロントに、ミラー監督を長期間留めておけるだけの力があるかどうかでしょう。またイビチャ・オシム監督を奪われた時ように、資金力(や政治力)のあるチームにほいほいと監督を引き渡してしまうようであれば、今度こそJ2降格は免れ得ないと思います。

16位 磐田
 2002年のリーグ優勝以降、J1では成績下降気味。ここ数年は、黄金期を支えたベテランをちまちまと放出していますが、代わりの若手がそれほど育たず。しかも毎年のようにシーズン中に監督を替える割には選手補強を最小限に留めて、中位でウロウロする結果しか残せないでいました。
 そして今期、昨期途中にコーチから昇格した内山監督を留任させ、攻撃陣にジウシーニョ、J2に落ちた広島から駒野、J2仙台から萬代らを獲得。しかしながら鈴木秀人、田中誠、名波、中山らベテランを引き続き契約せざるを得ないという、ジリ貧補強に終始しました。

 そして今期、シーズンを通じて働くことのできないベテランを雇用し続けたツケが、若手・中堅選手の怪我人続出という形で表出しました。
 西、太田、カレン・ロバート、河村、前田など各ポジションの主力が怪我で離脱すると、その穴を埋められる選手が存在せず序盤から精彩を欠きます。最高順位は4節の7位、それ以降はほとんど二桁順位に甘んじることに。

 特に選手層が薄くなりすぎていたボランチは、ロドリゴを獲得することでなんとか手当てすることができました。が、攻撃陣が入れ替わるように欠場して、しかも補強もままならないとあっては内山監督としてもどうすることもできず。16位まで落ちた9月には内山監督解任、磐田黄金時代の「基礎だけ」を築いたハンス・オフト監督を招聘するという苦肉の策しか残されていませんでした。
 ところがオフト監督が就任してからは一転、得点力不足に陥り、9月は4試合で1勝3敗、2得点8失点と散々な結果に。10月に入ってからようやく守備が安定し始めて、徐々に順位を上げていきます。

 リーグ終盤は札幌や清水など、既にリーグでの順位がほぼ決まった相手に勝利して最終戦を前に、残留圏内の15位に位置していました。最終戦の大宮戦で引き分け以上なら残留が決まるはずだったのですが……なんと終盤にきて調子を上げてきた大宮相手に、残り15分で失点してしまい0-1で試合終了。千葉に逆転を許して、16位で今期を終えることになりました。
 最終節に限って言えば、選手層が薄いなか、無失点で耐えきるだけのメンタリティも、同点に追いつけるだけの攻撃オプションも取れなかったのは、最終的にフロントの責任を問われることになるでしょう。もちろんこの状況を招いた責任は、ここ数年に渡って長期的な視野を欠いた人事を繰り返したフロントにあることは言うまでもありません。

 さて、来期に関することを書きたいのですが、只今絶賛J1J2入れ替え戦の真っ最中。第1戦の仙台でのアウェイを1-1で終えたことで、土曜日のホームでは0-0ならJ1残留という状況になっています。
 しかし、1失点でもすると状況は厳しくなり、1-1で引き分けだと15ハーフの延長戦+PKに縺れ込むことに。まかり間違って2失点してしまうと、2-2でもアウェイゴール差でJ2降格となってしまいます。

 ここまで追い込まれた原因としては、上記と前回までのエントリーでもちょこちょこ書いていたように、世代交代の失敗が一番でしょう。
 磐田の黄金期と時期を同じくしてタイトルを争った鹿島の現登録選手と比べてみれば一目瞭然です。当時から未だ鹿島にいるのは、GK曽ヶ端と若手で出場機会が限られていた小笠原と中田浩二と本山くらい(大岩は2003年に磐田→鹿島)、いずれも20代後半の選手です。一方の磐田は前述したように、中山(41歳)を筆頭に30代半ばの名波、田中、鈴木らベテランが、まるで終身雇用かと思うほど残っています。
 他チームから獲得した中堅どころ(村井や茶野や駒野)以外の生え抜き選手が伸びていないというのもあるとは思います(西と太田くらい?)。が、伸びない選手はレンタルで出すなり解雇するなりして、さらにベテラン選手の高給を削れば、伸びしろのある若手を多く獲得することは容易なはず。
 ベテランをいつまでも残して、補強も中途半端、若手起用を最小限に絞った結果がこれです。もちろんフロントは現場との対話を重視しなければいけませんし、選手を大事にしていくという姿勢を見せるのも大事です。が、そこから一歩離れて中長期的な視点で補強を行い、今期のような最悪の事態になっても、ある程度の戦力を確保することは最優先事項なはずです。
 しかし磐田のフロントは現場に近すぎ、というか感情移入しすぎている感があります。ここが是正されない限り、再度黄金期が訪れることはないでしょう。

17位 東京V
 札幌と共にJ2から昇格してきた東京V(3年ぶり)。ディエゴ、服部、土屋ら昇格に貢献した選手を残留させ、さらに福西、那須、和田、土肥といった守備的で経験豊かなベテランを中心に補強。と、ここまでは良かったのですが、何故か以前札幌の指揮を執って早々に解任されたことがある柱谷哲二氏をコーチから監督に。
 ちなみに、シーズン序盤、一度は川崎に移籍したフッキを再獲得したりもしました。

 個人的には柱谷監督について、札幌での戦術・采配を見ていただけに不安だったのですが、やはり序盤からつまづいてしまいます。開幕戦で引き分けて6位になった以外はひたすら二桁順位。連敗して順位を下げると、思い出したように勝ち点をちょこっと上乗せして降格ラインすれすれを低空飛行していきます。
 序盤はフッキ、ディエゴに加え、レアンドロの外国人トリオだけで攻撃して、あとの8人で守るというJ2のようなサッカーを試みますが、中盤でスペースが空きすぎて上位チーム相手に惨敗を繰り返します。フッキがチームに不満を漏らし始めると(のちシーズン中に退団)、大黒を獲得、攻撃の穴を埋めた上、更に大黒のポストプレーを中心とした中盤の活性化が進みますが、何故か大黒は継続して使われず。終盤には、攻撃の核であるディエゴが4試合出場停止(リーグの累積警告+天皇杯の累積警告)を受けてしまい試合開始直後からジリ貧な状態に。最終5試合で2分3敗、1得点7失点と急ブレーキがかかり、最終的に17位まで順位を落として1年でJ2降格となってしまいました。

 フロントの選手補強に関してはそれほど瑕疵はなかったと思います。(おそらく代理人の影響で)フッキがゴネ始めると大黒を持ってくる辺り、優秀とすら言えるのではないかと思うのです。お金云々のことは置いといて。
 決定的に間違えたのは、監督人事。これに尽きるでしょう。
 J2でラモス監督にチームを任せて2年越しで昇格を決め、そのラモスをフロント入りさせて、フロントにサッカーが判る人間を増やしたかった(選手OBを増やしたかった?)というのは理解できます。そして、ラモス監督の下で2年間コーチとしてサポートしてきた柱谷哲二氏を昇格させたいというのも、なんとか理解できます。柱谷監督は、監督として成長の余地はありますし、二人ともベルディ川崎の時代にチームを支えた功労者ですから。

 しかしながら、シーズン中にコロコロと戦術を変えて、それが結果に結び付くどころか混乱を招いている様子を見ていながら、監督交代という一手を打たなかった(打てなかった?)フロントが降格の責任を負うのは当然でしょう。
 フロントとしては、勝ち点と順位からいってJ2に落ちることはないだろうと高をくくっていたのでしょうが、結局手をこまねいている間に柱谷監督と心中してしまったという有様。他チームにとっては、過去の貢献度やその時の勝ち点や順位よりも、試合内容で判断して監督の去就を決める必要がある、という反面教師になったのではないでしょうか。

 来期に向けては、まず実績のある監督を呼んでくること。と思ったら、高木コーチが監督昇格っぽいとのこと。2006年に横浜FCをJ2優勝に導いた実績はありますから、まあいいのかもしれません。東京Vサポとしては不安で仕方ないと思いますが。
 補強については、既にベテラン・中堅を中心に解雇報道が相次いでいますね。なんとか残留を目標に、金に糸目をつけずに補強してみたものの、J2に落ちるとなると予算が厳しくなりますから、大量解雇も致し方のない所でしょう。

 問題は今後どういう視点で強化していくのか。若手や生え抜きを育てながら3〜5年くらいの視野でJ1復帰を目指すのか、それとも他チームから出場機会が減った中堅どころを集めて、1年で復帰を目指すのか。
 どうもここ数年のフロントは監督人事にしても選手獲得にしても、長期的視野が全く欠けているように見えるので、いっそのことゼロからチームを作り直すくらいの勢いでバッサリ切っちゃった方がいいように思えるんですけどね。

18位 札幌
 昨期J2で見事に優勝し、J2最少失点"45"、最少失点率"0.94"を引っさげてJ1に復帰してきた札幌。三浦監督の続投、DFラインの補強、攻撃陣の残留などJ1定着に向けてシーズンオフの動向は順調でした。しかし、シーズン前のキャンプから怪我人(特にDF)が続出してしまい、更にJ2中位の攻撃陣(66得点で7位、その内ダヴィが17得点)には予算的にほとんど手当ができなかったことが、シーズン中の状況をどんどん悪化させていきました。

 序盤から負けが込み、最高順位は6節と7節の14位。シーズンのほとんどを自動降格ラインの17位以下で過ごしてしまい、残り5試合の時点でJ2降格を決めるという昨期の横浜FCの降格最速記録と並んでしまう有様でした。勝ち点で横浜FC(昨期勝ち点16)を上回ったのがせめてもの慰めでしょうか。
 4勝6分24敗、勝ち点18という数字がどうにも手の打ちようがなかった惨状を如実に物語っています。36得点は、大分(33)、新潟(32)に次ぐワースト3位。失点70は断トツで最下位(1位大分の約3倍、ワースト2位の千葉は53失点)。
 ダヴィ以外の攻撃陣がJ1で通用しなかったこと、上記したように怪我人が多く、特にDFの怪我が序盤の計算を狂わせたこと、その上、川崎から緊急補強した箕輪が終盤に怪我をしてしまったこと、など、運と予算に見放されてしまったのが低迷の原因でしょう。

 そんな中で、ダヴィがJ1で通用する攻撃力を持っていることが証明されたことは明るい材料になりました。名古屋への移籍がほぼ決定したことで、補強資金を手にすることができます。
 そして柏を退任した、J1昇格請負人である石崎監督を招聘することがほぼ決定し、箕輪を引き留めることにも成功。経験豊富な監督とベテランDFを擁して、来期のJ2へ明るい展望が開けてきた感じです。
 1年でJ1昇格というのは難しいとは思いますけどね。



ふい〜終わった〜
さて、あとは入れ替え戦とクラブW杯か。
天皇杯は鹿島が敗退済みだしなぁ、G大阪が優勝してACL出場権を獲れるかだけが興味あるかな。
posted by plop at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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