2008年12月11日

2008 J1各チーム短評(3)

さーて、あと半分。がんばるぞー!

10位 神戸
 J1に復帰して2年目となった今期、大久保、レアンドロ、ボッティなど主軸となる選手達を引き留めた上で、平瀬ら伸びしろの少ない中堅を切りつつ、吉田、松橋、鈴木規郎、金といった伸びしろのある若手を獲得。監督は2006年J2在籍時に途中から指揮を執り、ここまで戦ってきた松田監督をそのまま起用。昨期の10位から更に上積みが期待されるシーズンでした。

 序盤の5試合で2勝2分1敗、3節には2位に浮上と上々の滑り出しを見せましたが、その後はなかなか勝ちきれず。連勝のあとに連敗したり、引き分けが続いたりと伸び悩み、順位は中位でウロウロという感じ。終盤に入って守備が安定して5連勝、しかも5試合で失点1というチームの歴史に残る好成績を残しますが、最後の2試合で無得点6失点と惨敗。出入りの激しいチーム状態を如実に現してしまいました。
 そして最後の惨敗が響いて、2年連続10位と健闘した松田監督が続投要請のあとに解任されるというドタバタぶりを見せてしまい、フロントの一貫性と現場・選手の来期へのモチベーションに疑問を呈する格好で今期を終えることになってしまいました。

 今期の神戸の特長と言えば、なんと言ってもコンパクトな中盤の守備ブロックでボールを奪ってのショートカウンター。昨期からその片鱗は窺えましたが、今期は選手達の戦術理解が進んだ結果、より硬質で速い組織守備とカウンターができるようになっていました。この守備戦術に苦しんだ上位チームは非常に多かったと思います。
 それが結果に結び付かなかったのは、攻撃陣が「数少ないチャンスを決める」タイプではなく「数多くチャンスを作って決める」タイプだったことが上げられます。前者の典型であるウェズレイや巻のような選手が一人でもいれば、今少し上位に食い込めたのではと感じました。
 もう一つ、中盤の攻防で相手に技術的な面で劣っていた場合があります。この場合は逆に中盤でボールを奪われた挙げ句、浅いDFラインの裏にどんどんボールを出されて、疲労が溜まった後半に得点を奪われて敗戦という憂き目に遭いました。

 とはいえ失点38は、J1でベスト5の好成績。しかも目標が無くなった残り2節で6失点を喫しての数字ですから、中位チームとは思えないほどの守備力です。あとは攻撃力さえ備われば(個人的にはFWのバラエティさがあれば)、来期いいところまで行くと思っていました。
 ところがフロントは、最後の2節を重視して松田監督を解任すると発表(一説には三木谷オーナーの閲覧した対川崎戦で0-4になったからとか)。この2年でコツコツと作り上げてきたチームと、その直前の5連勝という好成績をすべて見てなかったことにするという、ある意味蛮行をフロントは選択してしまいました。

 既に続投を決めておきながら翻意しての電撃監督解任に、指導陣も選手達もフロントに対し不信感を強めている模様です。こんな状況の中、来期に向けてフロント・指導陣・選手が同じベクトルを向いて強化していくことができるのかというと、かなり疑問が残ります。
 まずは後任の監督を決めるところからになりますが、松田監督と傾向を同じくする監督を招聘することができるのかどうか、それとも全く別系統の戦術観を持つ監督を持ってくるのか。
 松田監督に続投要請をするくらいですから、候補はまったくピックアップしていなかったはずです。もし条件に合う監督を見つけられなかった場合は、選手の大量流出orシーズン中の選手造反or戦術理解度不足による低迷などが予想されます。

 それほどサッカーを知らないオーナーが現場に口を出したり、フロントがオーナーのご機嫌伺いをしたが故に低迷するチームの例は、世界中の至る所で見られるというのに(一昔前のレアル・マドリーとかインテルとか)、それを反面教師にできないあたりに神戸の限界を感じてしまいました。
 もしかすると野球の楽天イーグルスのように、オーナーやフロントが口出しできないくらいの実績を持つ監督を呼んでくれば好転するかもしれませんね(トルシエ氏、オシム氏、岡田氏あたりどうでしょ?w)

11位 柏
 石崎監督就任3年目、J1復帰2年目となったシーズン。オフにかなりの選手入れ替えがあり、フランサ、李、菅沼といった攻撃の主力は残留したものの、特に守備戦術の浸透度低下は否めず、序盤から勝っては負けを繰り返すことになってしまいました。
 その上、前半戦はフランサが怪我、後半戦は李が怪我で戦列を離れ、と攻撃陣が交互にいなくなり、得点力不足に悩まされ続けて後半戦は10戦連続勝ち無しを記録、順位を大きく下げることに。

 昨期からの攻撃陣をそのままにして上積みを図り、守備陣は入れ替えと若手起用が多かったため多少は目をつむる、というシーズン前の方針だったと思うのですが怪我人の多さが誤算を生んでしまった格好です。得点は43→48へ増加、しかし失点がそれを上回る36→45と増加した結果が、最終順位11位でした。

 今期唯一の生観戦は14節の柏vs浦和だったのですが、この時の柏からは考えられない結果です。2-1で浦和を撃破したのですが、李とポポの2トップが前線からプレスをかけて浦和にサッカーをさせず、後半フランサが交代出場してからは浦和が前掛かりになったところを、スペースを有効に使って勝ち越しゴールを決めるなど、柏の良い所だけを見ることができた試合でした。
 ところが、その後フランサが出続け、李が戦列を離れると成績は低迷。前線からのプレスがなくなり(フランサはまったく守備をしない上、競り合いに弱い)、ボランチが際立っているわけではない柏にとっては生命線が尽きたような感じだったのではないかと。
 今期で勇退する石崎監督としては、自ら理想とする戦術よりも現実にいる選手の能力を重視してチームのバランスを取ったとは思うのですが、それが結果には結び付きませんでした。残念ながら。

 来期については、まだ監督が決まっていません。しかし、フランサを残すかどうかというのが一番大きな問題として残ることは確実です。Jリーグ初期のジーコや磯貝のような、守備をせずラストパスだけを送る選手は現在のJリーグでは(J2でも)稀であり、むしろ通用しないと判断されていると見ていいはずです。
 確かにフランサのパス能力、得点能力はJ1でも屈指ではありますが、それを上回るデメリットである守備力の低下が表面化しては意味がないわけです。
 柏フロントが、監督選びとフランサの取捨選択をどうするか、まずはそこに注目です。そこが決まらないと、来期に向けて他選手の放出・獲得ができないような状況ですからね。

12位 大宮
 J1昇格4年目となった今期、13位→12位→15位とこれまでギリギリのところで残留を決めてきた大宮。主力級の選手を残留させることに成功し、J2山形で攻撃サッカーを指向していた樋口監督を招聘。これまでにない上位を目指しての出発でした。
 序盤から中盤にかけては、浦和、鹿島に引き分け、G大阪、川崎に勝ちきるなど、攻撃サッカーが功を奏して一時は6位まで順位を上げて「生まれ変わった大宮」をアピールしました。
 が、途中から得点力不足と守備崩壊が同時に起こってしまい、中盤に4連敗、終盤に6連敗と完全に失速して一時は17位まで順位を落とします。残り5節で3勝2分と調子を取り戻した結果、12位での残留を決めましたが、シーズン前の目標には程遠い成績に終わりました。

 今期の大きな波がある成績は、一重に選手層の薄さに原因を求められるかと思います。残留した小林大悟、藤本、デニス・マルケスら攻撃陣、レアンドロ、波戸、富田、片岡といった守備陣は、昨年と同じパフォーマンスを見せたと思います。が、彼らの調子が落ちた時に代わりに出場して同様の働きができる選手、もしくはチーム全体の調子が落ちた時に勢いで状況を好転させられる選手がいなかったことが、失速に繋がったのではないかと思います。
 事実、終盤6連敗の最後の試合となった東京V戦に初出場した新人SB塚本が、一定のパフォーマンスとこれまでにない勢いを披露すると、チーム全体が活気を取り戻し、残り5試合で勝ち点11を得るという「プチ奇跡」を起こしました。しかも、対戦相手は優勝争い1チーム、残留争い4チームというギリギリの状況で、です。
 ここまでの3年間の下位安定の布陣に、選手のプラスアルファが足りないまま監督の手腕だけに「プラスアルファ」を求めてしまった結果が、上下の激しい順位変動に表れたのではないでしょうか。

 来期に向けては、張外龍監督の招聘を決定とのこと。過去、日本では東京Vと札幌でそれほど目立った成績を上げていない監督に決めた意図がイマイチ掴めないところです。今のところ主力級の放出はレアンドロだけにとどまっていますが、監督の管理能力や戦術・采配によっては放出やシーズン中のゴタゴタに発展しそうな気配があります。
 大丈夫なのか?と他人事ながら気になってしまいますね。

13位 新潟
 大宮と同時期にJ1に上がり、以降 12位→14位→6位と昨期一気に失点数を減らして上位に食い込んだ新潟。今期は鈴木淳監督に3年目の采配を任せ、更なる飛躍を目指すはずでした。が、昨期19得点を上げたエジミウソンを放出して、補強はアレッサンドロくらいとむしろ消極さを感じるシーズンオフの補強方針。
 そしてシーズンが始まるといきなり4連敗、しかも2得点10失点とこれ以上ないくらいスタートダッシュで大ゴケします。その後は昨期同様の守備力が復活して中間点となる17節までには7位まで順位を上げてきました。
 ところが後半戦に入ると得点力不足とまたしても守備が崩壊が重なり4連敗、というか後半戦17試合で13得点26失点では上位を目指せるはずもなし。降格圏内には落ちなかったものの、低位安定といった態で今期を終えました。

 そうは言っても、今期の46失点というのは、昨期の47失点とほぼ同じ。監督交代も補強も放出もなかったため、守備力は昨期と同程度に保たれました。しかし攻撃力が激減。昨期48得点が今期32得点と2/3に。これではどうしようもありません。
 大きかったのはエジミウソンの放出と、マルシオ・リシャルデスの不振です。アレッサンドロが気を吐いて13得点とチーム内得点王ですが、エジミウソンの19得点には及ばず、マルシオ・リシャルデスは今期3得点とこの二人だけで-12得点。
 日本人選手に大化けを期待するのは無理な相談でしたし、この順位も仕方ないことかと。

 来期に向けては、既に鈴木淳監督の留任が決まっていて、あとは守備力を落とさずに如何に攻撃力を上げるかというところにかかっています。が、ユースからの昇格組や若手の成長を待っていられるほどの余裕はありません。そうすると、また安くて良い外国人を獲ってくるほか手がないということに。
 リーグ2位の観客動員数(今期586,3226人)を保つためにも、つぎはぎ戦力でJ1に残るというのは(売上げの面から言えば)当然アリな選択肢なのですが、将来J1で優勝を目指すのであれば例え一度J2に落ちたとしても、チームの軸を固めるという判断があってもいいような気がするような。

14位 京都
 昨期のJ1J2入れ替え戦で広島を破り、見事にJ1復帰を果たした京都。既に3回J2に降格していることを踏まえ、今期は残留を目標として積極的な補強を施しました。
 いずれもJ1の他チームで出場機会が少なくなった、柳沢、増嶋、佐藤勇人、林丈統ら日本代表クラスの選手を獲得、加えてシジクレイをも獲得します。そして理論派の加藤久監督を昨期の終盤からそのまま起用、戦術面での混乱を最小限にしようとしたことが窺えます。

 その成果は序盤に現れ、6試合で3勝2分1敗で一時5位まで上がりスタートダッシュに成功。以降は連敗したり連勝したりで二桁順位をウロウロすることになりますが、遂に一度も降格圏内に落ちることなく終盤を迎え、なんとか14位で残留を手にすることができました。

 今期はなんといっても、補強が大当たりだったことが残留決定の要因に上げられるでしょう。特に、怪我で戦列を離れた昨期J2得点王のパウリーニョの穴を、柳沢が埋めて14得点と気を吐き、増嶋は32試合に出場してDFラインを安定させ、途中加入した水本も18試合出場、佐藤勇人とシジクレイはボランチでほぼフル出場して相手の攻撃の芽を摘み続けました。
 37得点のうち24得点が移籍組によるのもの、2006年降格した際に74失点だったのが今期は46失点と、明らかに選手獲得によってチーム状況が好転していました。

 来期は、今期獲得した選手以外を切る方向でフロントが動いているようです。中盤とサイドの選手層に物足りなさを感じますが、監督を続投させて戦術の浸透を図れば、今期よりも守備力の増強が望めます。バックアップに各ポジション一名いれば、通年でも大丈夫そう。
 あとは攻撃陣をどうするかというところでしょうね。柳沢に何度もパスを出せる選手、柳沢からのリターンパスを得点につなげられる選手を獲得することができれば、得点力の向上が見込めるかもしれません。ただ、鹿島サポとして長年柳沢を見てきた身としては、柳沢は年をまたいで活躍することが余りないんで、そこだけ心配なのですが…

 

明日はいよいよ最後。最後まで降格争いを演じた、
15位 千葉
16位 磐田
17位 東京V
18位 札幌
を予定。ま、札幌は早々に降格していたわけですが。
posted by plop at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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