2008年12月10日

2008 J1各チーム短評(2)

さて、J1のチーム短評の続き。
予定通り、順位表の上半分が終了です。

5位 清水
 長谷川監督が就任した2005年以降、就任直後の2005年シーズンを除いてすっかり上位に定着するようになりました。毎年、総失点を40前後に抑える組織立った守備が売りです。
 しかし、今期は序盤から中盤にかけて攻撃陣の不振と、守備の粘りがなくなる時期が重なってしまい、一時は15位まで順位を落としてしまいました。年代別を含め代表に選手を取られることが多く(北京五輪が…)、戦術が修正できないまま時間が過ぎていった感があります。
 後半戦に入ってからは非常に安定した戦いを見せ、終わってみれば5位となかなかの成績。ナビスコ杯は決勝まで進み(惜しくも準優勝)、天皇杯では鹿島を撃破して準々決勝進出とここにきて調子を上げてきています。

 岡崎、原、兵働、枝村、青山といった年代別代表に選ばれるほどの有望な若手と、西澤、市川、伊東らフル代表で活躍したベテランが各ポジションに満遍なくいるという、一見非常にバランスの良いチームになっています。これまたフロントと監督の強化方針がブレずに一貫している証拠でしょう。
 若手もベテランも昨期から清水にいてチームバランスは今期も変わらなかったはずなんですが、しかしそれでも不振に陥ってしまうあたりは、いわゆる「勝者のメンタリティ」が足りていないのかなとは思います。タイトルを獲った経験のある選手が少ないのが主な原因かと。その意味も含めて、今期のナビスコ杯は是が非でも獲りたかったと思うのですが…

 来期に向けては、育てた若手を他のチームに取られないことがまず重要ですね。監督は続投という報道が出ていますから、戦術の継続・理解も問題なし。来期は五輪もユースW杯もないから、代表に選手を取られる回数も減るはず。
 あとは優勝経験のあるベテランを一人くらいどこからか獲得できれば、そして、もしできれば今期の天皇杯で優勝して、勝利経験を積み重ねた上で来期に臨みたいところでしょうね。
 来期はチーム関係者全員にとって、勝負の年になると思います。

6位 FC東京
 シーズン序盤から昨期の12位を上回る順位をキープし続けて、一時は2位まで上がるなど、成績だけをみると安定感を見せたFC東京。しかし、一試合毎の成績や内容を見ると大勝した後にコロッと負けたりすることが多く、終盤にも首位の鹿島に快勝したかと思えば残留争い中の千葉に逆転負けを食らったりと、結果的に波乱のJ1を脇から演出する立場に回ってしまいました。
 2005年以降、原監督→ガーロ監督(倉又監督)→原監督と、3年間に渡ってフロントの強化方針がブレたため成績は低空飛行を続けていましたが、今期就任した城福監督によってなんとか安定を取り戻したことで、関係者全員がホッとしていることでしょう。

 今期、一試合ごとに調子の波が激しかった原因としては、まだ経験の少ない若手が多いため一旦試合の流れを手放してしまうと我慢しきれないこと、中央のポジションがベテラン揃いのため終盤に失点が多いこと、城福監督が相手チームに応じてその強みを消す采配を好むためかハマらなかった時には負けてしまう、という印象でした。

 特に攻撃陣とサイドは若さと勢いが非常に目立っていて、赤嶺、長友、徳永らの調子によって成績が上下していた感じです。
 中央のポジションであるボランチとCBで、一番若いレギュラーは今野で25歳、茂庭が27歳、あとはほとんど30歳以上ですから。疲れが見えてくる試合終盤は脆くなります。
 サイドにベテランの交代要員がいれば、後半に流れを変えたい時や落ち着かせたい時などに重宝したと思うのですが、残念ながらそこまで選手層は厚くなかった模様。千葉から羽生を獲得していましたが、SBができる選手ではないですからね。

 来期に向けては、まずカボレと赤嶺のFW二人を必ず引き留めること。二人で23得点ですから、どちらかが欠けると厳しくなるでしょう。
 そして若手のボランチとCBを育てるか、獲得してくること。浅利、佐原、藤山、金沢とこのポジションに30歳以上の選手が多すぎで、若手がほとんど育っていません。今野ももう中堅と呼ばれる年齢だし。シーズンオフに何らかの手を打たないと、磐田のように世代交代に失敗した時のダメージが大きいポジションですから。何故、伊野波を放出してしまったのか未だに謎なんですよね…(鹿島サポとしては非常に有難かったわけですけど)
 
7位 浦和
 昨期手からこぼれ落ちたリーグ優勝、そしてACL連覇を狙ってシーズンオフから積極的な選手補強を行った浦和。しかし何故かワシントンと小野を放出。獲得した高原と梅崎はチームにフィットしないまま、三都主は怪我続きで15分しか出場できず。
 その上、シーズン序盤にオジェック監督と選手間との確執が表面化した際に、監督との話し合いもほとんど無しになかば一方的に解任。後任にエンゲルスコーチを昇格させて一時は持ち直したものの、起用されない一部選手の造反を誘発させてしまい、終盤にチームは空中分解という有様になってしまいました。その結果が7位、ACL準決勝敗退、ナビスコ杯予選リーグ最下位、天皇杯5回戦敗退という惨状。
 フロントの調査能力と現場との意思疎通能力に疑問符を付けざるを得ません。

 今期の補強は攻撃陣がほとんどで守備に手を入れなかったからこそ、7位で持ちこたえられたと言えると思います。闘莉王、阿部、坪井、鈴木啓太など日本代表でお馴染みの面々に加え、平川、相馬、細貝と人材はたっぷり。個人能力だけでもなんとかなってしまいそうです。
 しかし、組織が伴わなければJ1では戦えないことを自ら証明する結果に。昨期はリーグ最小の28失点を誇ったチームが、今期は42失点。選手はまったく変わっていませんが、エンゲルス監督が選手達が臨む攻撃的な布陣を取り入れるようになった中盤以降、守備の粘りが失われていきます。そして、最終節にはJ2降格年を思わせる6失点の大敗。
 フロントの失策が現場に悪影響を及ぼした好例と言えるでしょう。

 来期に向けては、まずフロントが監督候補やコーチ陣、そして選手達と誠意を込めて話し合いをするところからやり直さないといけません。監督を決めて(エンゲルス監督は解任決定済)、来期の目標設定と現場へのサポートを確約した上で、選手達に監督の方針に従うことを約束させた上で契約する必要があります。サッカーをある程度知っている人ならば当たり前のことだと思うでしょうが、今期の浦和はそれすらできていなかったのですから。
 やっぱり車会社が親会社だと(ry
 もし同じ過ちを繰り返すようだと、再びJ2降格という悪夢が甦ることになるでしょう。

8位 G大阪
 日本内だとビッグクラブ、世界基準だとプロビンチャーレという感が強いG大阪の補強方針。シーズンオフにシジクレイ、マグノ・アウベス、家長ら主力級を放出して、ルーカスを獲得。シーズン中にもバレー、水本を放出、と選手を買っては、結果と経験を積ませた後に惜しげもなく売る。それでいて、チームの軸である遠藤や二川らは絶対に出さないという方針を貫いています。
 ※プロビンチャーレ=選手を育成してビッグクラブに売る中小規模チームのこと

 今期はマグノ・アウベスとバレーが抜けたことと、播戸の怪我が大きく響いてリーグでは46得点にとどまりました。2006年は80得点、2007年は71得点ですから約6割減です。それでいて失点はあまり変わらないですから、8位という順位も肯けます。
 逆に得失点差が-3ながら、一桁順位に留まったという結果が驚きで、いかにリードした後の試合運びが上手いかを物語っていると思いますね(しかし先制されると脆いことは優勝予想のエントリーで書いた通り)。遠藤や二川が絶対に放出されない理由がこれでしょう。

 リーグでは冴えませんでしたが、ACL優勝という大きな目標を達成したことは非常に大きな意味を持つでしょう。準々決勝に入ってからは明らかにリーグは捨てていました。今期の選手層から二兎を追うことは不可能と判断を下すことができ、チーム一丸となって目標に進んでいき、そして見事に目標を達成したことは、チーム関係者全員が大きな自信と貴重な経験を得たはずです。
 そして来期のACL出場権を得るために、天皇杯優勝を目指していることでしょう。天皇杯のG大阪には要注目です。

 FC東京と同様に、中央のポジションがここ数年決まっていて、それがFC東京とは逆にチームの安定板として機能しています。が、西野監督が安定感のある選手を多用することで若手の定着が阻害されている面もあります。家長と水本は典型的な例ですね。それが故に、若さによる勢いに欠けてしまって、FWに爆発力が無くなった時に勢いを補えないという欠点が露呈した今期でした。
 フロントの補強方針と西野監督の戦術・采配と選手への戦術浸透が、今のところは一貫したいい流れを作っていて、FWとサイドにいい補強ができれば成績が付いてくる状態になっています。しかし、中核選手の能力が衰えた時にどうなるか。また磐田を引き合いに出してしまうのですが、世代交代に失敗した時のダメージは長く深く残ります。そろそろ次の一手を打っておかないと、5年後には中位辺りでウロウロしているかもしれません。

9位 横浜M
 磐田の黄金時代にチームを率いた桑原監督を迎え、世代交代を図りつつ2004年以来のタイトル奪取に向けた今期。序盤の滑り出しこそ好調だったものの怪我人が多く、中盤の10節から得点力不足に陥り18節までで2分7敗、うち6試合で1点差負けで16位まで順位を落としてしまい桑原監督は解任。
 後を引き継いだ木村監督になってもなかなか得点力不足は解決しませんでしたが、終盤の柏戦で久しぶりに3得点を決めてから復活しはじめ、最後は3連勝、11得点1失点と調子を上げながらシーズンを終えました。
 32失点は大分、鹿島に次ぐ3位。3失点したのは1試合だけと、シーズンを通じて堅い守備があればこそ、9位まで上がってこられたのだと思います。しかし、横浜Mはもともと守備には定評のあるチーム(2007年35失点、2006年43失点)で、守備陣の入れ替わりもほとんどありませんでした。それを考えると今期も上積み無しだった、とも言えます。

 チーム得点王(7得点)は、ベテランの大島と左SBの小宮山。この事実だけでも如何に得点力不足が深刻だったかを伺わせます。
 獲得したFWロニーが期待外れの上、シーズン中に退団したこと。坂田、水沼、山瀬幸宏といった期待の若手が全くといっていいほど伸びなかったこと。ボランチの位置から試合を組み立てられる選手がいないため、トップ下の山瀬功治が封じられると打開策がほとんど無くなってしまうこと。などが原因として上げられるでしょうか。(山瀬功治が怪我で欠場するようになって得点力が復活したのは皮肉としか…)

 得点力不足を解消するには若手の成長を待つだけでなく、既にJリーグで結果を出しているFWを獲得すること、中盤の基点となる選手を獲得すること、セットプレーの精度を上げることなどが考えられます。
 さて、横浜Mのフロントはどんな方針でシーズンオフに臨むのでしょうか。来期に向けては、既に木村監督が留任すること、大島を放出することが決定しているようです。中盤とDFラインはほぼそのままで、更にFWの世代交代をという意図だと思うのですが、なんというか他人事ながら不安な動きです。
 クラブの施設費だけでも他より負担が大きい上に、親会社の日産は世界恐慌の前から不振が続いていてサッカーにかけられる金は限られるはず。フロントの方針が一貫してるとは言っても、ここまで消極的な方向だとねぇ…
 やっぱり車会社が親会社だと(ry



次は、順位表の下半分の更に半分。
10位 神戸
11位 柏
12位 大宮
13位 新潟
14位 京都
の予定。
posted by plop at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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